Gravicembalo col piano e forte

すげーマニアックで申し訳ないのだが、こんなソフトがある。これはDTMの音源なんだが私自身はこれの存在を知って大笑いしてしまった。

別にDTMで音質を追求するのがナンセンスとかそんなことが言いたいわけじゃない。PCが音質追求に向かないのは単に民生PCがノイズ対策を施していないためであって、ちゃんと作れば(コストに合うかどうかは別として)オーディオ機器と大差ない。

じゃあ何が可笑しいのかって? 採用されているピアノブランドだ。このパッケージで音源として用いられたグランドピアノは以下のものだ。

Bösendorfer 290 Imperial Grand
German Steinway D 9' Concert Grand
Yamaha C7 Grand

これは世界五大ピアノ名器と呼ばれるメーカブランドのうち3社のものがひとつずつ入っている。逆に言えば残り2社であるBechsteinとFazioliが入っていないことになる。その一方でSteinwayには"German"が入っている。これはSteinwayの銘が付くピアノにはハンブルク製(German)とニューヨーク製(U.S)があって、音質が異なるためだ。

つまり、このソフトの製作元であるSynthogyはSteinwayを製造元で区別するこだわりがある一方で、BechsteinとFazioliは黙殺してしまう程度のモノと割り切ってしまったことになる。

無論、商品化に伴ってピアノメーカから許可が出なかったとか、試してみたけど音源に向かなかったとかいろいろ推測はできる。だが、ピアノ三大名器であるBechsteinを差し置いてYamahaが入っている点は注目だ。

まぁそもそも五代名器に名を連ねないbluthnerが「最も美しい声で歌うことができる楽器」と称えられるように、音に対する感覚は「何を聞いてきたか」に左右される部分があまりにも大きいため、あくまで○大名器なんてのは「権威がそれを称えるかどうか」でしか無い訳だが。

というわけで、これからお子さんにピアノを教える場合はYamahaのピアノを選んでおこう。どうせなら最初に知る常識レベルは高いほうがいい。Yamahaは一応この世界じゃ大家のひとつだ。プロジェクトX針小棒大な部分こそあるが、Yamahaがピアノに血と汗と涙を注いできたことはまぎれもない事実だ。

結論がYamahaマンセーになってしまった。私は回し者じゃありませんよ。家のピアノはK○waiですし。