読解力を問う…にしてもなぁ

『月刊FACTA』というネットジャーナリズム活動してる所がある。
(ということにしておこう。解釈面倒臭いから)

彼らはソニー叩きを釣餌に読者を集めた典型的な寄せ集め情報発信媒体なのだが、それはここでは置いておいた上で以下を読む。

自分の恥部に「ぼかし」を入れるジャーナリズム
http://facta.co.jp/blog/archives/20051213000013.html

これを要約すると以下のようになる。

  • 「国がKGBにスッパ抜かれていた!」という報道がされる。
  • 上記報道は「マスコミ内部はKGBにスッパ抜かれていました、テヘ」というマスコミの汚点を責任転嫁するために行われた言葉のすり替えである。(実際、政局内部にもアカはいましたが)
  • 紹介されているブロガーは全面的に外務省を責めている。つまり「マスコミが自分たちの責任(恥部)を「ぼかし」た」という事実に気が付いていない。

これ自体はもっともなことなのだが、狙うべき読み手を間違ってるよなぁ。何故かって紹介したブログの文面をさらりと読み解くにはレフチェンコ関連の前提知識、欲を言えば共産圏が行ってきたスパイ活動に関する歴史的背景に対する知識がなければならない。前提知識なしで読んだ場合、ただでさえ冗長な舞台背景説明にいきなり今まで触れていない固有名詞が出てきて理解不能になる人続出のように思える。しかもこの投稿で問うメインテーマはこの事件そのものとまったく関係ないといった始末だ。

前提知識がある奴らはそもそも問題の所在はどこなのかなんてことはちゃんと分かっていて(その責任を政府に問うのかマスコミ自体に問うのかは別として)、「政府に〜」なんてマスコミのくだりひとつで「政府がだらしないから!」なんて安直な仮想敵を構築する短絡思考には陥らない。つまり上記で紹介した投稿を「啓蒙」として解釈するならそれが狙うべき読者層は「マスコミのキャッチコピーに騙されるような情報マリオネットと化した無根拠ブロガー」になるわけだ。だがそんな連中に上記で紹介した投稿が読み解けるだろうか。結構な確率で無理だと思う。途中で理解しようとする努力を止めるだろう。それくらい無駄に「特定の事件に言及した知識網羅度」が高く、理解しにくい。

ブログで実現できる自己表明に陶酔して本質を見逃している連中を嘆くのは大いに結構なんだが、賤しくもジャーナリズムに公益性を求める立場にいることを表明するのならこれは難易度が高いと言わざるを得ないだろう(たとえ「自分で読み解く」訓練の場と解釈しても、だ)。どちらかっつーと弱者を嘲笑ってるようにしか見えない悪趣味にさえ捉えられる。

ジャーナリズムが個人を出汁にしてどうするよ。これが結論な。

P.S
まぁ私も悪趣味だけどさ。